その間にもあいつの口が止まる事はなく、俺に対する悪口がぽんぽんと出てきていた。

 俺も、恥ずかしさのあまり勝手に口が動いていた。

「うるっせーよ、黙れ、このチビっ!!なんで、分かんねーの!?俺は、俺は…茉莉奈のこと、友達だなんて思ってないんだよ」

 あいつはそれを聞くと、ますます怒ったように叫んだ。

「…ほんと、サイテーっ!!私だって、翔なんか友達でもなんでもないんだから!」

「えっ、おいっ…茉莉奈っ!」

 走り去ろうとするあいつの腕を引き止めた俺に、茉莉奈は蔑むような目を向けた。

「翔なんて大っ嫌い!!一生、話しかけてくんなっ!」

 きっと、俺が謝ればあの場は何とかできた。それでも俺の意地と、あいつの言葉がそれをさせなかった。

 あろうことか、俺は思いつく限りの悪口を離れていくあいつの背中に向けたのだ。

 そして、言い尽くすと俺もあいつとは反対側へ逃げた。何でか胸が熱くて、苦しくて、目に溜まる涙が我慢できなかった。

 とにかく俺は悔しかった、もどかしかった。

 だから、その気持ち全部を押し殺した。向き合う勇気がなくて、泣いて、逃げたのだ。