帰る準備をしてみんなで学校を出る。


峰くんとゆっちゃんは用事があるからと、あたしと霧谷くんとは反対の方向に向かって帰っていった。



ふふ……二人の帰る後ろ姿はなんだかカップルに見えるなぁ。


峰くん……頑張れ!!



心の中で峰くんにエールを送る。


峰くんの気持ち、いつかゆっちゃんに伝わるといいな。



「僕たちも行きましょうか」


「うん」



差し出された手に自分の手を重ねる。



「今日はいろいろあったね。霧谷くん、大丈夫?」


「……少し疲れた」


「ふふ……大変だったもんね」



何気ない会話をしながらゆっくりと家まで歩く。


霧谷くんと話してると家までの道もあっという間。



不思議だなぁ……



「じゃあ、またね」


「また」



次に会えるのは月曜日……ちょっと寂しいな。



「萌、大丈夫?」


「え……?」



ふわりと霧谷くんの手があたしの頬を撫でる。



「寂しいって顔してた」


「う……」



ばれてる……


あたしってそんなに分かりやすいのかな……



カアァ、と顔が熱くなる。



「寂しかったら電話でもメールでも頂戴。待ってるから」


「め、迷惑じゃない…?」


「迷惑どころか大歓迎だから」



ちゅっ、と霧谷くんの唇があたしの額に落ちる。



「またね」


「うん……またね、霧谷くん」



さっきまでは寂しくてたまらなかったのに、今は温かなものが心の中に溢れていた。


やっぱり、霧谷くんはすごいなぁ……




「霧谷くん……大好き」




小さく呟いてあたしは家の中に入った。













こうしてあたしと霧谷くんが付き合って初めての文化祭はおわった。



「霧谷くんの執事姿……かっこよかったな」



未希さんに撮ってもらった写真……ケータイにも入れておこう、と決意したのはあたしだけの秘密。