名残惜しそうに唇が離れる。
「顔、真っ赤」
「うぅー……」
分かってるもん、それぐらい。
少し睨むように霧谷くんを見るけど、そんなの霧谷くんにはまったく効かなかった。
それどころかますます笑みを深める。
「もしかして、煽ってる?」
「ち、ちがっ……んっ」
反論しようと口を開くと再び霧谷くんに唇を塞がれた。
「んんっ……」
ぐっと霧谷くんの胸を押すけどびくともしない。
というか後頭部をがっちり押さえられてるから、このキスから逃げようとしても逃げられない。
そのうち甘いキスに思考も抵抗する力も飲み込まれていく。
でも、さすがに苦しい……
も、だめ………
ぎゅっと意識を離さないように霧谷くんの服をつかむ。
最後にぺろりと下唇を嘗められてそれにぴくり、と体が反応してしまう。
そっと目を開くと霧谷くんが妖艶に笑っていて、ドクン、と心臓が音をたてた。
まだぼんやりする頭で霧谷くんを見つめていると、そのまま後ろにぽふんと倒された。
………え?何?
視界には部屋の天井と霧谷くんの顔……
「き、霧谷くん?」
あたしは困惑の目を向ける。
だって、何が起こってるのか、あたしにはよく分からない。
一度優しく笑って、霧谷くんはそっとあたしのおでこにキスを落とした。
「やっぱりやめとく」
「え?」
あたしの上にいた霧谷くんは移動してベッドの下に座った。
丁度、寝ころがっているあたしの顔と霧谷くんの顔が同じぐらいの高さになる。
「霧谷くん…?」
「今、あんまこっち見ないで。抑え効かなくなりそうだから」
「抑え?」
………よく分からないけど、霧谷くん怒っちゃったのかな。