「へぇー!そうなんだぁ」
にこにこしながらその綺麗な人はあたしの隣に座った。
「ね、名前なんて言うんですか?」
「も、萌です。桃園 萌」
「萌サン。可愛い名前」
にこりと笑顔を向けられて、あたしもつられて笑う。
「えっと、あなたの名前は……?」
「そんなに改まらなくてもいいですよ。萌サンの方が年上ですから」
「そ、そうなの?」
と、年下に見えない……
「あ、ボクのことは今はユウって呼んで下さい」
「い、今は?」
「そのうち分かりますよ」
わ、分からない……
なんかユウちゃんの言うことなぞなぞみたい。
と言うか今ボクって言ってた?
女の子が"ボク"って初めて聞いたかも。
「くくっ……萌サンって、名前だけじゃなくて行動も可愛い」
「えぇっ!?」
何をいきなり!?
こんな綺麗な人に可愛いって言われるなんて……
誉められなれてないので照れてしまう。
「ちょっとからかってもバチは当たらないかな」
「?」
あれ?ユウちゃん、今何か言った?
「萌サン、ちょっとじっとしててくれますか?」
「?う、うん」
きょとん、としてあたしはユウちゃんを見つめる。
それにしても、見れば見るほど綺麗な人だなぁ……
でも、誰かに似ているような……
誰だろう?
そっとユウちゃんはあたしの頬に触れる。
「ゆ、ユウちゃん?」
「それ、結構そそられますね」
ユウちゃんはにこりと笑ってあたしの方に顔を近づける。
え…え……?
何が……?
「何やってんだよ、優(スグレ)」
「あて!!」
ゴン、という鈍い音が部屋に響く。
「いってぇ……何?ヤキモチ?」
「うるせーよ」
「うわ、マジですか〜」
ユウちゃんはケラケラと霧谷くんを見て笑う。