「…………」
「…………」
「………流、顔あか」
「言うな」
陸真に言われなくても今、自分の顔が赤いことなんてちゃんと分かっている。
「はぁー………」
不意打ちすぎる。
「あっ、おい待てよ!流!」
少しでも熱を冷まそうと俺はいつもよりはやく歩く。
その後を陸真はついてきた。
「……なんか、今日はレアな流いっぱい見れたな。
心配した顔とかヤキモチ妬いたとことか、顔赤くしたとことか……」
「いちいち数え上げんな」
あー、くそ……
顔の熱が引かない。
そんな俺を陸真はにやにやしながら見る。
「ほんと、流は桃ちゃん大好きだよな〜」
「悪いかよ」
「おっ、妬けるねぇ〜」
俺が素直に答えたのがそんなにおかしいのか、陸真は家に着くまでずっと笑っていた。
「はぁ……」
部屋に入るとすぐに俺は制服を脱いだ。
そっとまだ温もりの残っている唇に触れる。
「たまには、いいかもな」
酒が入ると萌は積極的になるらしい。
また今度、時間があるときに萌に酒を飲ませてみよう、と思い俺は一人笑った。