「分かった?」
そんな男に俺は最高の笑顔を見せる。
「萌は、俺のだから」
だから手を出すな、と無言の圧力をかける。
何の反応も見せない金髪に背を向けて、俺は部屋から出た。
後ろから陸真と相田の声が聞こえた気がしたが、今はここから出たい気持ちの方が上だ。
カラオケボックスから出てから振り返ってみると、陸真と相田が小走りでこちらに来ていた。
「流、歩くのはやすぎだろ〜」
「はやく出たかったからな」
萌をあんなところに置いておけるか。
「合コンだったんだろ?出てきていいのか?」
そう聞くと二人は顔を見合わせてため息をついた。
「あんな濃厚なキスを全員の前で公開されちゃうとね……」
「ちょっとあの場には居づらいわよね……」
「あー……」
成る程……そこまで考えてなかったな。
萌を連れ出せればそれでよかったし。
「わり……」
「ま、別に行きたくて行ってたわけじゃねぇからな」
「そうね。気にしないで」
相田に言ったのであって陸真に謝ったわけじゃないんだけどな。
「それより流さ〜……」
「ん?」
「さっきのあれ、ヤキモチなわけ?」
にやり、と笑って陸真は俺を見た。
「……キスのことか?」
「それ以外に何があるんだよ」
相田も興味があるのか、どこか期待に満ちた目で俺を見る。
「……それもあるかもな」
「おっ、それ以外にもなんかあるのか」
「いや……」
ただ俺は、あれだけすればあの金髪も萌にちょっかい出さないだろう、と思っただけだけど……
「それヤキモチだろ、完璧」
「そうね」
陸真だけでなく相田にも即答される。
そうなのか………