「ん〜〜、いいよ?」
へにゃ、と萌は笑って答えた。
多分、萌はそんなに深く考えてないだろう。
酔ってるから当たり前だろうけど。
「分かりました」
「おい、さっきから何言って……」
隣から聞こえる男の苛々した声を無視して、俺は萌の顎をつかみ上を向かせる。
「きりやくん……?」
微かに疑問と困惑のまなざしを向ける萌。
「萌がイケナイんですよ?」
俺の言うことを聞かないから。
「きりやく……んっ」
萌の言葉を最後まで聞かずに、俺は少し乱暴に萌の唇を塞いだ。
萌の飲んだ酒のせいか、いつもより甘い味がする。
長めのキスをすると息が苦しくなったのか、萌は唇を少し開ける。
その隙間を埋めるように、俺は舌を入れた。
「んんっ……ふっ、ぁ……」
甘さを含んだ萌の声が部屋の中に響く。
息が苦しいのか俺の袖を引っ張る。
止めてほしいんだろうけど、今回はそれを無視して俺はキスを続けた。
「っ、はぁ……」
そろそろ萌が酸欠でやばいか……
目尻に少し涙が溜まっている。
ぺろりと下唇をなぞるように嘗めてから俺は唇を離した。
恥ずかしいのか、ただ酸欠のためか、萌は俺の肩に顔を埋める。
あー……やり過ぎたか?
とは思うものの謝る気はない。
俺はそのまま萌を抱き上げた。
隣のやつを見ると目を見開いて俺を見ていた。
ついでに顔が少し赤い。
まぁそれはこいつだけじゃないが。
この部屋の中で普通の顔をしているやつなんか陸真ぐらいだろう。
相田でさえ少し赤い。
「お、前……」
ぱくぱくと金髪は口を動かすが言葉は続かない。