「つーか、部屋どこだよ……」



とりあえずここまで来たが、部屋の番号が分からなければ萌がどこにいるのかも分からない。


メールに書いてなかったし。



「くそっ……はやくでろよ」



陸真に電話をかけるがなかなか繋がらない。



『あ、流〜〜?』


「部屋どこだ」


『直球だな、おい』



やっと繋がったのに陸真の声は暢気そのもので、俺の苛々も増していく。



陸真から部屋の場所を聞き出し、俺はカラオケボックスの中に入った。




バンッと勢いに任せて部屋の扉を開ける。


一斉に部屋にいた奴等の目が俺に向くが気にしない。



「お、はやいな流」


「え、あれ霧谷なの?」



中には陸真と相田、他にも何人かの男女。


……合コンかよ。


陸真のメールの謎が一つ解ける。



相田がいる、ってことはこいつもグルか……



「おいおい流。眼鏡どうした?男前があがってて夕希ちゃんびっくりしてるぜ」


「うるせー。走って来たから邪魔だったんだよ」



敬語を使うのもめんどくさい。


視界の隅に驚いたような顔をしている相田が写った。



「萌は?」


「あそこ」



にやりと笑って指した先には、やや俯きながら何か飲んでいる萌とその隣で何か話している男。



……つーか何肩組んでるんだよ。


萌も振り払わないし。




「萌」



目の前に立って名前を呼ぶと、萌はゆるゆると顔をあげた。



「あぇ?きりやくん?」



ほんのりと赤い頬をした萌がふにゃりと笑う。



「きりやくんだぁ〜」


「っ、萌?」



明らかに様子がおかしい。


呂律回ってないし、顔赤いし、それにこの匂い……



「萌、ちょっとその飲み物貸して」


「え〜」



半ば無理矢理取り上げて匂いを嗅ぐ。



………これ、酒だ。



だとしたら萌の様子も納得がいく。