「ま、待ってよゆっちゃん!あたし霧谷くんと……」



はっ、と思ったときにはあたしたちはもう玄関にいた。


その上ちゃっかり鞄も持っている。



「あたし霧谷くんと約束……」


「そっちは峰がなんとかしてるはずよ」


「えぇ!?」



どういうこと!??


何が起こってるの!?



訳が分からないままゆっちゃんに連れていかれたのは駅の近くにあるカラオケボックス。



………何故?



「おっ、夕希ちゃん、こっち〜〜」



カラオケボックスの前には見馴れた人が……



「峰、はやいわね。霧谷は?」


「ノープロブレム!」


「そ。ならあとは話した通りに………」



……なんか、盛り上がってるなぁ。


こうして見ると二人ってお似合いかも。



………って、そうじゃなくて!



「ゆっちゃん……」



そろそろ説明してほしいよ……



「あ、ごめん萌。説明もなしに」


「……本当だよ」



霧谷くんとの約束も破っちゃったし……



「ところでさ、萌、霧谷のヤキモチ妬いたとこ見てみたくない?」


「へ?」



いきなり変わったら話題に、一瞬何を言われているのか"?"が頭に浮かんだ。



「……ヤキモチ?」


「そう。ヤキモチ」



にやり、とゆっちゃんが笑う。



……どうしてここでヤキモチの話になるんだろう。


疑問の目を向けるけど、見事にスルーされた。




ヤキモチ、かぁ……




霧谷くんっていつも涼しい、というか余裕……?そうな顔してるし……


困ってる顔、とか……



「見てみたい、かも……」



あたしがそう言うと、ゆっちゃんと峰くんは顔を見合わせて今まで以上ににやり、と笑った。