「……なんでいるんだよ」
今はこいつに会いたくなかった。
「相変わらず冷たいなぁ……ってあれ、流さ、熱でもあるの?」
「は?意味分かんねぇ」
なんだよいきなり。
「んー……顔、赤くね?」
「…………」
「流?」
「……うるせー。冬のせいだよ」
「えーー。何かあったんじゃないのー?」
にやにやしている陸真を無視して、俺は前を見た。
「冬のせーだよ」
「本当にー?」
「しつこい」
ついさっき確信した自分の気持ちは
まだ、自分だけの秘密に………
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「またクラス離れたぁーっ」
「そうですか。それはよかったです」
「流……酷さに拍車がかかってね?」
「気のせいですよ」
桜の咲く季節。
俺たちは二年になった。
「あっ!なんだよ、夕希ちゃんとも違うし……」
あからさまにがっくりと頭を落とす。
前から相田のことになるとうるさいと思っていたが、最近やっとこいつは相田が好きだとことを自覚したらしい。
「……よかったですね」
「よくないけどっ!?」
くっそぉー、と大袈裟に喚く陸真からそっと離れる。
こいつと幼馴染みとか認めたくねぇ。
「あっ、待てよ流!」
それにすぐ気づいた陸真は俺のあとを追いかけて来る。
………ちっ。
意外と速かったな。
「まぁクラスは離れたけど、これからも流に会いに行くからさ!」
新しい教室に向かいながら陸真はさっきとはうってかわってご機嫌そうだ。
「相田さんに会いたいだけでしょう?」
「ご名答!」
即答かよ。
俺と相田はまた同じクラスだったからな。
あと………