萌の髪を指に絡めながら、ぼんやりと考える。
陸真や相田が言ったように、萌は前よりもかわいくなった、と思う。
いや、いつもかわいいけど。
そりゃ、告白も増えるよな……
「流?どうしたの?」
不思議そうに俺を見上げる萌は、多分無自覚……だけどその上目使いはかなり魅力的。
また押し倒したくなるけど、そんなことをしたら怒られること確実なので我慢。
代わりにその唇にキスをする。
ほんのりと赤く染まる頬。
その顔はどことなく色っぽい。
「萌は、俺があぁいう格好してるのどう思う?」
「?」
きょとん、と首を傾げる姿に笑みがもれる。
「学校でわざと地味ーな格好して、本当の俺を隠してること、どう思う?」
「え?」
うーん、と考えこむ萌。
その邪魔をしないように髪を絡めていた指をほどくけど、萌は全然気づいていないようだった。
「よく分からないけど、どっちも流でしょう?
あたしは学校でメガネをかけてて、地味な格好してる流も、綺麗な瞳を出してちょっと意地悪に笑う流も、大好きだよ?」
ふわ、と笑って真っ直ぐに俺を見つめる。
「前にも言ったよね。
例え一人称が僕でも俺でも、敬語でもタメ口でも、流は流って。それと同じ。
あたしが好きになったのは、流自身だもん。
口調とか格好なんて関係ないよ」
「……そっか」
えへへ、と笑う萌をぎゅっと抱きしめる。
萌の体温と甘い香りが鼻をくすぐった。
「あれ?答えになってないかな?」
「んーん、ありがと、萌」
「?よ、よく分からないけど、どういたしまして?」
少しあたふたする萌に笑みをこぼす。
今まで面倒くさいとかいう理由で自分を偽っていたけど。
萌を守るためならこんなの面倒でもなんでもないよな。
「萌、」
「なぁに?」
「萌は、俺が守るから」
「ふぇっ!?あ、う……」
真っ赤な顔をする萌に、俺は笑ってもう一度キスをした。