「ん、んぅっ……」



たまになら、ちょっと強引なキスをすることだってある。


でも、そんなときでも流の優しさとかそういうのが感じられて。


でも今は、ただただ荒々しさや必死な感じしか感じられない。



「なが、ん…ふっ、ぅ………」



クラクラ、脳に酸素が足りなくなる。


しばらくして唇は離れたけど、もはやギブアップ寸前だったあたしは大きく息を整えた。



「はぁ……ダメだ。余裕ない」


「……?」



流はあたしの肩にこつん、と額をのせる。


そのせいで、今流がどんな表情をしているのか分からない。



「……さっき、萌が他の男にキスされそうになってるの見て、かなり頭にきた。
今すぐ萌が俺のって感じたいぐらい……ダメだな。俺、全然余裕ない」



自嘲するような声に、胸がギュッとなる。


悪いのはあたしなのに、流は責任を感じてるんだ。


そのことに対して抱く罪悪感。


あと……流もそう思ってりのかなっていう期待。



「流……あたしも、流を感じたい。流の、一番近くを、感じたい……」



そう言うと、驚いたように流は顔を上げた。


そ、それはまぁ、かなりの大胆発言をしちゃったのは自覚があるけど。


でも……それが今のあたしの一番素直な心だから。



「……優しくできないかも」


「いい、よ…流の、好きにして……?」



カアァ、と赤くなったあたしに流は軽いキスを落として。


天井を背景にして映った流は困ったように笑って。



「萌、それ殺し文句だから」



本当…余裕ない、と呟いて、流はあたしにキスをした。