ど、どうしよう……


こんな話だと想像してなかったから戸惑ってしまう。


初めて告白された、し……佐藤くんみたいにかっこいい人があたしと付き合って欲しいなんて、すごくありがたいことだとは思う。



でも…………




「ごめんなさい……あたし、佐藤くんとは付き合えません」



ペコ、と頭を下げる。


あたしが付き合ってるのは、あたしが好きなのは流だけだから。


流じゃないと、ダメなの。


だから……佐藤くんとは付き合えない。



「でも、付き合ってって言われてとっても嬉しかったです。
ありがとうございました」


「どうしても、ダメ?お試しでもいいんだ」



いつのまにか佐藤くんが近くにいて思わず後ずさってしまう。


そういえば、お父さんや流、峰くん以外の男の人とこんなに近くなるの初めてかもしれない……


なんだか少し怖くなって、逃げたい衝動に駆られるけど、まるで逃がさないというように右手を掴まれる。



「っ、」


「桃園さん」



名前を呼ばれただけなのにビクリと肩が揺れる。


なに…なんで……


なんでこんなに怖いと思っちゃうんだろう。



「あ、たし、付き合ってる人がいるから、だからっ、」


「じゃあ別れて俺と付き合ってくれない?俺、桃園さんのこと喜ばす自信あるよ」



グイ、と乗り出すように近寄ってきた佐藤くんを避けるように下がると、背中に冷たい感触がした。


もう、逃げるところがない。


怖い…流……っ



「最近、桃園さんすごく綺麗になったからいいなって思ってたんだ。
俺、自分でも整ってる方だと思うし、桃園さんと釣り合うと思うよ?」


「やっ、」



顎を掴むように顔を上げさせられる。


目の前に佐藤くんの顔が広がる。