「じゃあ行ってくるね」


「気をつけてね」


「うん」



ゆっちゃんに笑顔でそう言ってあたしは校舎裏の花壇に向かった。


あたしが心配だからって、今日はゆっちゃんが教室で一緒に食べてくれたんだ。


流は峰くんのところに行ってるみたい。


ゆっちゃんとのご飯、久しぶりだったなぁ。


楽しかったけど、流との、その……いろいろなことを根掘り葉掘り聞かれまして。


うぅ……恥ずかしいよぉ。


思い出すだけで顔が熱くなっちゃう。


これから佐藤くんの話があるのに、大丈夫かなぁ。



パタパタと顔の熱を手で逃がしながら花壇に行くと、すでに佐藤くんはそこにいた。



「ごめんなさい、遅かったですか?」


「大丈夫、俺も今着いたから」



声をかけるとにこ、と笑いながらあたしを見る佐藤くん。


怒っていないみたいでホッとする。


待たせちゃうのってなんだか申し訳なく感じちゃうんだよね。


待たせるぐらいなら自分が待つ方がいいから、時間には気をつけてるんだけど。


……ご飯を食べるスピードはこれが精一杯でした。



「それで、話って……?」


「うん……桃園さん。俺と付き合ってくれないかな」



…………はへ?


佐藤くんの言っている言葉が頭の中を素通りして、ポカーンとしてしまう。



「……えと、それって、あたしに付き合って欲しい場所があるってこと?」



そうだよね?という願いも込めて佐藤くんを見つめるけど……



「あはは、面白いね桃園さん。でも俺が言ってるのは、男女のお付き合いの方」



表情は笑ってるけど、目は真剣で真っ直ぐあたしを見ている。