「ま、男子の間じゃあいろいろ言われてるみたいだけど」
「そうですね」
「?」
二人が意味ありげに目配せをする。
うぅ……またあたしだけ仲間はずれだ。
ゆっちゃんにも言われるけど、やっぱりあたしって鈍いのかな。
単純だとは思ってるけど……
「それで、何言われたの?」
「うん。話があるからお昼ご飯食べたら校舎裏の花壇に来てって」
真剣な顔してたから、何か大事な話があるみたいだけど、ほとんど初対面のあたしになんの話なんだろう。
「……なんで呼び出されたのか、萌は分からないわよね」
「うん、全然」
だって初対面だよ?
話したこともなかったのにそんなの分かるわけないよ。
名前も、知らなかったし……
「お昼に行くから、今日はみんなと一緒にご飯食べられないなぁ……
峰くんにもごめんねってゆっちゃんから伝えてもらってもいい?」
「分かったわ。でも萌……大丈夫?」
「?何が?」
きょとん、とゆっちゃんを見つめるあたし。
そんなあたしを見てゆっちゃんは流に目を向ける。
「霧谷、あたしかなり心配なんだけど」
「僕もですよ。見た目の百倍ぐらい心配してます」
「???」
え、ゆっちゃんも流も何か心配ごとがあるの?
でも昨日までそんな素振り全然なかったのに……
「萌、気をつけてね」
「……へ?」
どうして二人の心配ごとがあたしの心配に?
ポカーンとしている間にも、ゆっちゃんと流に散々気をつけるように言われて、あたしは頷いた。
だって二人からの圧力が怖かったんだもん。
でも、気をつけるって何に気をつければいいんだろう……?
その意味を考えて首を傾げながら、あたしは午前の授業を過ごしていた。