頭の中は真っ白で何も考えられない。
「やっ、流……」
ゆっちゃんも峰くんもいるのに何やってるのぉ!!
ぺちぺちと腰に回っている腕を叩くけど、流は全く気にしていない。
それどころか楽しそうにうなじやあたしの耳元に唇を落とす。
「な、流……っあ」
耳を甘噛みされて思わず声がもれる。
バッと口を押さえたけどもう遅くて。
そろそろと視線を動かすと、ゆっちゃんも峰くんも唖然とした顔であたしと流を見ていた。
………はっ、恥ずかしいぃ〜〜〜っ!!
もう……恥ずかしすぎて視界が潤む。
「な、流。そろそろ桃ちゃん泣きそう」
「もとはと言えば、家みたいにしてって言ったのはそっちなんだけど」
「だからってやりすぎだって」
峰くんの言葉に激しく同意するあたし。
何も二人の前でこんなことしなくてもいいのに……
流は意地悪だ。
「でも、これで萌が変わった原因は確信しただろ?」
「……まぁ、な」
「そうね」
納得したように顔を合わせるゆっちゃんと峰くん。
あたし、分かってないよ?
きょとん、とするあたしにゆっちゃんははぁ、と盛大なため息をこぼし。
「一線を越えると色気が出るってことよ」
いくらゆっちゃんに鈍感だと言われても、今の状況と合わせてみて意味が分からないワケもなく。
その言葉に赤面してしまったのは言うまでもない。