「いや、流の色気とかハンパない。マジで。
老若男女でちょっとドキドキするような破壊兵器だから」


「え、何?じゃあ陸真も俺にドキっとしたワケ?」



にやり、と流が口元に笑みを浮かべる。



「あっほ。夕希がいるのにお前にドキドキするか」


「な、ちょ陸真……っ」



照れるゆっちゃんに思わずあたしは笑みをこぼす。


だって……ゆっちゃんかわいいっ!!


ゆっちゃんも恋する乙女なんだなぁって思う。



「と、とにかく!霧谷は抑えないで家みたいにしなさいよっ」


「別に俺はいいけどね」



くすくすと笑いながら流はネクタイを緩めメガネをとる。


邪魔だったのか、前髪を掻きあげてあたしを真っ直ぐ見る姿にドキッと心臓が跳ねた。


だんだんと熱くなる頬を押さえるあたしに流はゆるりと口元をあげて。




「萌、おいで?」




あたしに、そう言った。



こ、これが色気……?


なんでだろう……ただ呼ばれただけなのにクラクラしちゃう。


流の言葉に逆らえる気がしない。



おずおずと近寄ればくるりと方向転換して、あたしは流の腕の中に収まった。


つまりは流の膝の上に座って、後ろから抱きしめられている状態で。



「なっ、流!?」


「ん?」



いやいや、ん?じゃなくて!!


ゆっちゃんも峰くんもいるのにこんなことをされるのは初めてで、恥ずかしくて堪らない。


だって二人とも見てるんだよ?


流は恥ずかしくないのっ?



「は、離してよぉ……」



暴れて離れようにもしっかり抱きしめられてるし。


うぅ……



「流ぇ……離し、んっ」



首筋に感じた刺激にピクリと体が動く。


って、何してるの!?