ピンポーン、と軽快なインターフォンの音が家に響く。
「わわっ、霧谷くんが来ちゃった!」
時計を見るとすでに約束の時間になっていて。
い、急がないとっ!
その前に霧谷くんを家の中に入れないと。
外は寒いし。
バタバタと階段を下りて玄関を開けると、そこには霧谷くんの姿が。
うわぁ…今日の霧谷くんも格好いいぃ……
やっぱり霧谷くんのイメージカラーは黒だなぁ。
シンプルな黒のコートがすごくよく似合っていて、思わずぽーっと見とれてしまう。
って、見とれちゃダメっ!!
「お、おはようっ、霧谷くん」
「おはよ、萌」
霧谷くんの笑顔にドキッと心臓が跳ねる。
うぅ……朝から刺激が強すぎるよ、霧谷くん。
「あっ、霧谷くん。とりあえず今は中に入ってて?
あとちょっとで準備終わるから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
お邪魔します、と言って家に上がる霧谷くんをリビングに通してから、あたしは慌てて自分の部屋に向かう。
昨日準備をしたバッグと霧谷くんのために買ったものと、あと一つ用意したプレゼントを持ってリビングに行く。
「霧谷くん、遅くなってごめんね」
「もう準備できたの?」
「うん」
「じゃ、行こっか」
霧谷くんの笑顔につられるように、あたしも返事をした。
家を出て、玄関の鍵を閉めてちゃんとかかったか確認。
家を出るときはちゃんと確認しなさいって何度もお母さんに言われたんだよね。
あたしってそんなに頼りないのかな。
「お待たせしました」
「ん、じゃあ行こ」
はい、と差し出された霧谷くんの手にあたしは自分の手を重ねた。
「そっちじゃなくて、」
えっ!違ってたの?
ひゃあぁっ、恥ずかしい……!!