「………すき」
あたしは自分でも気づかないうちにその言葉を口にしていた。
「…好き………大好き……」
ぼぉーっと霧谷くんを見ていて我にかえる。
………あたし、今、何を言った?
「ひゃあぁっ!!!」
ボンっ、と顔から湯気が出るくらい恥ずかしい。
ダメだ。
もの凄く恥ずかしい。
あたし何言っちゃったんだろう!?
すすすすす、好きって!!
これじゃあこっ告白みたいじゃないか!!
峰くんのせいだ……全部峰くんのせいだっ!!
うぅー……あたし、今絶対に顔真っ赤。
だめだ、だめすぎる。
もう起こすとか絶対に無理。
このまま帰ろう。
峰くんもさすがに玄関に来なかったら教室にいるって分かるはず。
帰る、帰ろう!!
効果音がつきそうなくらいの速さで立ち上がり、鞄の中に荷物を入れる。
急ぎすぎて、というか頭の中がパニック状態で鞄の中身をぶちまけそうになるけど、なんとかギリギリでとどまる。
よし……準備も終わったし、帰ろう。
そのままダッシュでこの場から逃げ出そうとした時、後ろから微かな笑い声が聞こえた。
…………え?
「くすくす………」
ギギギ、とぎこちなく振り返ると楽しそうに肩を揺らしている霧谷くんがいた。
「……えっと、おはよう?」
「くすくす……おはようございます。桃園さん」
心臓がドキドキ、というかすでにバクバクと壊れそうなぐらい速く脈打っている。
……え、というか霧谷くん、いつから起きてたの?
いや、止めておこう。
聞きたいけど、聞いたらなんか、凄く恥ずかしいことになる気がする。
「委員会、終わったんですか?」
「う、うん。さっき……あ、峰くんから伝言があって」
「陸真から?」
ん?少し声が不機嫌になったような……
「玄関で待ってて、って……」
「……そうですか。ありがとうございます」
「い、いいえ!!」