かわいいなぁ……
「………んっ」
「………っ!」
はっ、としてあたしはぱっ、と手を引っ込めた。
あ、あたし、何してたんだろう……
カアァ、と顔が熱くなる。
というか声。さっきの霧谷くんの声が…なんか……色っぽかった、な。
ドキドキと鳴る心臓を抑えて立っていると、霧谷くんはまた穏やかな寝息をたてはじめた。
ほっと胸を撫で下ろし、あたしはしゃがみこんだ。
なんとなく、というか……霧谷くん寝てるし、今なら普通に見れるかなぁー…と思ったり。
机に突っ伏して寝ているからさっきより顔がずっと近い。
でも霧谷くんは寝ているからか、あたしは少し大胆になっているみたい……
「霧谷くんって、寝てるときも眼鏡してるんだ……」
よっぽど顔、見られたくないんだろうなぁ。
そういえば、前に素顔を見られるのは嫌いって言ってたっけ……
くすくすと思い出してあたしは一人で笑う。
特に何かをするわけではなくあたしはじっ、と霧谷くんを見つめていた。
ドキ、ドキと鳴るあたしの心臓。
もう、周りの人にも聞こえているんじゃないか、ってくらいうるさい。
しばらく霧谷くんを見つめているとふと、峰くんの言葉を思い出した。
「"好き"が溢れて、いつか告白に繋がる、か……」
なんか、今ならもの凄くこの言葉の意味が分かる気がする。
「霧谷くん……」
だって、もういっぱいだ。
ずっとドキドキしてる……
「霧谷……くん……」
胸が、心が、いっぱいすぎて、これ以上"好き"の置き場がない。
「霧谷、流…くん……」
好きすぎて、抑えられない。