「大丈夫?」
まだまだ余裕そうな霧谷くんを、ぼんやりとした頭のまま見つめる。
「だ、いりょうふ……えす」
「大丈夫じゃなさそう」
ごめんね、とくすくす笑いながら差し出した霧谷くんの手に、あたしは自分の手を重ねた。
ぐっと引かれたかと思うとぽす、と霧谷くんの胸の中に収まる。
………なんだか、安心する。
普段なら恥ずかしくてそんなこと思えないだろうけど、今は何故かそう思った。
………もっと恥ずかしいこと、したからかな。
カアァ、と少し熱が頬に上がった気がして、それを霧谷くんに見られないように、あたしは自分の顔を霧谷くんの胸にうずめた。
「はぁ……」
上から霧谷くんのため息が聞こえる。
……さ、さすがに図々しかった、かな?
冷静になって今自分のしていることが急に恥ずかしくなる。
……絶対、顔赤いよぉ。
どうしよう、どうするべき?
頭の中でぐるぐると考えていると萌、と霧谷くんに名前を呼ばれた。
「な、なに……?」
おずおずと見上げると、霧谷くんは少し不機嫌そうで……
あれ、でも少し顔赤い……?
「これ誰かに見せた?」
「え、うん。ゆっちゃんと峰くんが買ってくれたものだから……」
二人は見たよ、と言うとさらに不機嫌になる。
「相田は、まぁいい。陸真め……」
ぶつぶつ言ってるけど、どうしたんだろう?
「霧谷くん?」
「……萌、その服俺以外の前で着ないでね」
「??」
どうしていきなりそんなことを……?
"?"を浮かべるあたしに、霧谷くんはため息をついて抱きしめた。
「き、霧谷くん!?」
どど、どうなって……!?