「峰くんのばか。あほー……」



頬の熱を冷ましながらあたしは教室へ向かっていた。



「告白…あたしが……?」



霧谷くんに?



「……無理だよ」



今でもこの状況にいっぱいいっぱいなのに。


でも……霧谷くんともう少し仲良くなりたいなぁー…とは思う、かも。


前のあたしなら遠くから見て、少し話せればよかったのに。


それだけで幸せだったのになぁ……



「あたしって、欲張りになっちゃったのかも……」



峰くんとあんな話してたからかな?


はぁ、とため息をついてあたしは教室の扉を開いた。



「あ………」



どきん、と心臓がなる。


あたしの席の隣……霧谷くんがそこにいた。



うっ、なんかいつも以上に意識しちゃうよぉ……


でも、峰くんに伝言頼まれたしな……


よし、と気合いを入れて霧谷くんの方に行く。



「霧谷くん…」


「…………」



………あれ?



「霧谷くーん……」


「………すぅ……すぅ…」


「…………」



寝てる?………寝てるね、完璧に。



「はぁ………」



なんか、あれだけ緊張したのに拍子抜けしちゃった……


起こした方がいいんだろうけど、霧谷くん気持ち良さそうに寝てるし起こしたくないなぁ…



さあぁっ、と開いていた窓から風がはいってくる。



「あ」



風といっしょに入ってきた葉っぱが一枚、霧谷くんの髪に落ちる。



……えっと、どうしよう。これ、とってあげた方がいいよね?


でも気持ち良さそうに寝てるし……寝てる人に触るのはちょっと抵抗が……


でも、葉っぱとるだけだし……大丈夫、だよね?


起きない、よね?




きょろきょろと周りを見て、人がいないことを確認してからあたしはそろーっと霧谷くんに手を伸ばした。



「わ……」



あたしが想像してたよりずっとふわふわでさらさらだ……