「うーん……ゆっちゃん、何がいいかな?」



お店の商品としばらくにらめっこをしてから、隣にいたゆっちゃんを見上げる。



「さぁ…萌のあげるものならなんでも受けとると思うけど?」


「うぅ……そうだと思うけど……」



前に霧谷くんにさりげなく聞いたときも、貰えればなんでも嬉しい、みたいなこと言ってたし……



「でもせっかくの誕生日なんだし、どうせなら喜んでもらいたいもん」



そう、十一月二十六日、今週の日曜日は霧谷くんの誕生日。


学校が終わって、あたしは今、ゆっちゃんに買い物につき合ってもらっている。



「萌は考えすぎよ。あげたいって思うものをあげればいいじゃない」


「うーん……」



あげたいって思うもの……



「分からないよぉ〜」



ゆっちゃんならいっぱいあるのにぃ……


がっくりと肩を落とすあたしを見て、ゆっちゃんはやれやれと首をふった。


とりあえずお店を回ろうというゆっちゃんの提案で、ぶらぶらとお店を見て歩く。



「霧谷ねぇ……確かに難しいかも」


「でしょう?」


「うん……私生活が想像できないわ」



そ、そこまで?



でも言われてみるとあたしもよく知らないかも。


あたしが知ってることって言ったら優くんがいるってことぐらいだなぁ。



「萌、ここ見てみる?」



ゆっちゃんが見つけたのはシンプルなメンズの商品が売っているお店。


モノトーンの雰囲気が霧谷くんっぽい…



「うん、見てみよ!」



あたしとゆっちゃんはそのお店に入った。



「わぁ、かっこいい」



本当に霧谷くんっぽい!


ここならいいの見つかるかな?



「うーん………あ」



これ……



「萌、何かいいの見つけた?」


「う、うん。これ、どうかな…?」


「へぇ…いいんじゃない?霧谷っぽいし、実用性あるし」


「本当!?じゃあこれにしようかな」



ゆっちゃんにもお墨付きもらったし、霧谷くん、喜んでくれるかな……?