「………」

「………」



なぜかお互い、無言になってしまって。わたしは内心落ち着かない気持ちで、窓の外を見ていた。

──すると。



「あ……」



また、耳に届く、ウグイスの鳴き声。

犬飼くんにも聞こえたらしく、彼もこちらに顔を向ける。



「……ウグイス、最近やたら聞くようになったな」

「ね、春だねー」



はるつげどり。

心の中でそうつぶやくと、なんだか、ほわりと胸がくすぐられる。

なんだか、隠していた想いを、告げたくなるような。

けれどもやっぱり、ひみつにしておきたいような。



「………」



こんなふうに思ってしまうのは、今となりに、犬飼くんがいるからなのかな。

……犬飼くんにも、こんな気持ちになってしまうような相手、いるのかな。

たぶんわたしは、彼に嫌われてはいないと、思うんだけれど。

やっぱり、クマさんにねこは、つりあわないかなあ。