「南さんと婚約しなさい。わたしからの命令です」
「好きでもない方と結婚するほど、辛いことはないと思いますけど」
「東堂の人間としてうまれたからには、わたしの命令に従ってもらいますよ」
「じゃあどうしてお兄様が花林さんと付き合うことを許したんですか?
お兄様も僕と同様、東堂の人間としてうまれたんですよ」
「朝太はもういいのです。わたしとは親子ではありませんからね。
しかし君太はちゃんとしてもらいます。
南さんと婚約しなさい」
「嫌です。僕もお兄様と同じよう生きて行きたいんです」
「ではそのお兄様を利用しましょう。
君太、南さんと婚約しないと、朝太の仕事をなくします」
「お兄様の仕事をなくす?
どういう意味でしょうか」
「朝太にまわるはずの仕事を、他の方に譲ります。
そして芸能界追放といたしましょう。
朝太だけでなく、朝太の彼女も」
かりんとうも!?
「どうしてですか!どうして仕事をなくそうとするんですか!
どうして芸能界追放という最悪の展開を作るのでしょうか!」
「止めたければ婚約しなさい。君太が生贄と、犠牲となれば、助けてあげましょう」