ふ、ふんっ。
まあ、いいもん。
ケーキが部屋にやってきてくれたことは確かだ。
誕生日にケーキなしっていうのも寂しいし。
あ、でも。
「わ、私も…食べていいんだよね?」
思わず聞くと。
「勝手に食え」
ふう…良かった。
目の前で美味そうにケーキを頬張る流川を眺めてるだけなんて…悲しすぎる。
なんだかんだとやってるうちに、7時頃になり。
ケーキの他に、チキンとかピザとか、誕生日っぽいものを買ってきていた流川のおかげで、すんなり晩ごはんにありつけることになった。
ビールやら甘いお酒なんかもいっぱい買ってきてた流川は、すでに1本目のビールを空けている。
「いただきまーす!」
まずケーキに手を伸ばした私。
「ん~~~、んまいっ」
フォークを握り締めて感激してしまった私を、流川はしげしげと見ながら、
「初めてケーキ食うヤツみたいだな、お前」
「だって美味しいんだもん」
言いながら、二個目のケーキに手をのばす。
流川は黙って微笑んで見ていた。
けど。
次の瞬間。
おもむろに伸びてきた流川の手が。
私の頬で止まって。
「…え」
固まっていると。
すっ、と口元で動くその指先。
「子供みてぇ」
言いながら。
私の口元についていたクリームをとって。
「あ…」
そのまま、指先でぬぐったクリームを、
流川はぺろりと舐めてしまった。
うわ、うわわ…
なんか、恥ずかしい…んですけど…
っていうか、平気でそんなことしないでよ。
反則っ!