「俺が買ってきたからに決まってるだろ」


「…え?」


 
流川直人が、ケーキを?

 
ありえないでしょ。



「またまた~」


「他に誰が買ってくるんだよ、ケーキなんて」


「麻紀とか…」


「は? 麻紀? 誰それ?」


「私の、友達。朝のメールの子」


「ふーん」


 
流川はぐっと伸びをしてから、上半身を起こした。



「俺が勝ってきてやったんだ、ボケ」


「ボケ…って。でもどうして?」


「誕生日なんだろ、お前」


「そ、そうだけど」


 
えぇぇ?

 
 
私のために、わざわざ?

 
流川が?

 
ケーキを?



「やだ~。私のために?」


 
少し照れる。

 
でも、特別に…微笑んでやってもいっか。

 
なんて。

 
にっこり笑って「ありがとう」と言いかけると。



「俺が食いたかったからな。ケーキを買う理由もできたし、調度良かった」


「……」


 
あー、そうですかっ。

 
可愛くないっっ!!

 
っていうか、アンタ甘党だったんですかっ!

 
似合いませんけどっ!


 
微笑んで損したっ!!


 
返せっ、私の微笑みっ!!