アパートに着いて。
カバンに入れておいた携帯をチェックする。
「ん? 麻紀だ」
麻紀からメールが入っていた。
AM3:30…っていうことは、私があのオネエマンとトイレで遭遇していた時間か…
-------
唯衣、誕生日おめでとっ!
いよいよ20歳の大人ね。
オンナに磨きをかけるのよ!
-------
「……そっか」
自分の誕生日も忘れるほど、最近の出来事に振り回されてました、私。
今日、誕生日でした。
しかも20歳の記念すべきバースデー。
…を。
流川と…オネエマンパラダイスで過ごしていたなんて…
「最悪…」
いつまでも記憶に残りそうな誕生日だな、こりゃ…
「なんだ、ため息ついて」
流川が携帯をのぞきこんで。
「か、勝手に見ないでよ」
「なに、お前、今日誕生日なの?」
「…そうみたい」
「そうみたいって。自分の誕生日も忘れてたのか。ドンくさいヤツ」
「あのね…」
アンタのせいなんだからねっ。と口を開きかけたけれど。
ぐんぐんと襲ってくる、異常な睡魔。
「で、何歳?」
「ハタチ」
「ふーん、成人か。そのカラダで」
「ちょっ、カラダは関係ないでしょっ。み、見たこともないくせにっ」