ななななんでっ。


ここ、女子トイレでしょ??

 
オネエマンも、女子扱いになるのか?

 
 
そういえば…

 
ここに入ってきた時、どうして男性用の便器も置かれてるのかと不振に思ったけど…

 
なんて思っていると。



「ああああわわわっ」


 
オネエマン、男性用の便器の前で…おもむろにスカートをたくし上げました。

 
そうだよね、いくら女形に変身してるといっても…そうだよね。



「す、すみませんっ」


 
顔をそらす私。

 
もう…ホントに勘弁してください。

 
慌てて外に出ようとしたら。



「アンタ、ナオちゃんの恋人?」


 
声をかけられて。

 
振り向くと、まだ便器の前にいるオネエマン。

 

「違いまごめんっす!!」


 
…違いますとごめんなさいが混ざってるし。



「じゃあ、何なの? 一緒に住んでるんでしょ」


「そ、そうなんですけど、これには色々訳があって」


「どんな訳?」


「話すと長いんですけど…」


 
カッカッカッ、とヒールの音。

 
どうやら終わったらしく。

 
おそるおそる振り向くと、鏡越しに目が合った。



「ナオちゃん、アタシのところには全然来てくれないのよ」


「そ、そうですか」


 
申し訳ないけれど、当然だと思います…