「嫌ならいいけど?」


 
コーヒーを持った両手を、膝の上にのせて。

 
何だか、自信たっぷりです、この人。

 
私が断れないとでも思ってんでしょっ。



「どうする?」


 
湯気の向こうでニンマリする顔に。

 
しばらく考えてはみたけれど。



「ちゃ…ちゃんと、ボディーガード、やってくれるんでしょうね?」


 
なんて聞いてしまって。



「やってやるよ」


「な、なら…仕方ない…か」


「よし。決まりだ」


 
ソファにのけぞる流川。

 
は…はめられた感が……



「俺をボディーガードにつけれるなんて、お前はラッキーだな」


「くうううぅ…」


 
してやったり。

 
そんな流川の顔を上目遣いでにらんでみても。

 
目の前のソイツには効果なし。


 
私のほうといえば。

 
だけどなんだか、ちょっとだけ安心感に包まれていた。



 
こうして。

 
私と流川の、一ヶ月間のレンタル関係が。

 
成立してしまったというわけ。


 
……です。