隠れた棚の隅のほうで、2分くらい待った。

 
2分…ホント、それくらいの短い時間。


 
ドアが開いて、つかつかとコンビニに入って来た流川。

 
きょろきょろと中を見渡して。

 
棚の陰から顔をのぞかせた私に気づくと、少し眉を持ち上げてから、こっちへ来た。


 
流川の第一声は。



「アホ」


「……」


 
右手で自分の黒髪をかきあげて、呆れ顔で私を見おろしている。

 
あらわになったおでこには、汗が光っていて。

 
少し、息もあがってるみたいだ。

 
急いで…来たのかな…?



「お前さ、自分で言ってたろ、最近変なヤツうろついてるって。なのにこの時間に外に出るなんて、はっきり言ってアホだろ」


 
一気にそう言って。

 
おでこの汗を手のひらでぬぐった。


 
…アホって!

 
そもそも、あんたを心配して出て来ちゃった結果なんだって!



「だ…だって……し、しんぱ…」


 
言いかけて、口をつぐんだ。

 
「心配だったから」なんて言ったら、からかわれるに違いないし。



「ま、良かったな。無事で。俺のおかげだろ」


「う…」


「今頃エジキになってたな」


「ううう…」


 
口の減らないヤツっ。

 
なんか…悔しいっ!