ひとりになった部屋で私は、コンビニで買ってきた夕食を摂って。

 
まだ降り続く雨の音を聞きながらぼんやりとテレビを見ていた。


 
時々目の端に映る、流川が残していったメモ用紙。



「気にしない、気にしない」


 
口に出して言ってはみるものの。

 
この雨のなか出て行った流川のことが何となく気になって。

 
見ているテレビの内容が頭に入ってこない。


 
私がアイツのことを心配する必要なんてないし。

 
麻紀からの情報で考えれば、流川が野宿することなんてありえないわけで。


 
きっと、行くところなんていっぱいあるはずだし。

 
それに…あのとき…



「ふんっ」


 
女の人を抱きしめた流川の姿を思い出したら、イライラしてきた。


「しぼり出し」なんて言いながら、私のことだって抱きしめたくせに。


 
あんなヤツのこと、心配するだけ無駄無駄っ。


 
ぶんぶんと頭をふる。

 
私は頭のなかから流川の顔を追い出して。

 
手にしたままだった食べかけのおにぎりを口のなかに放り込んだ。