ムカムカしながら膝の上の下着類をばんばんと叩いていると、玄関のドアが開く音した。

 
その方向に顔をむけると、「お」という顔の流川が中に入ってきて。



「今日は早かったんだな」


 
なんて言って、こともあろうに、私の隣りに腰を下ろした。



「ぎゃ、ちょっと、ここに座んないでっ」


「なんでだよ。ああ、それ、洗濯物、洗っておいたぞ」


 
簡単に話題をそらされて。

 
しかも。



「お前、胸、ちっちぇーのな」


「!!!!!!」


 
ソファにぐんとのけぞって、からかう目つきで私を見る流川の顔は、にんまりしてる。

 
ここここ、こいつはっ!

 
人の一番気にしてるところをっ!

 
絶対、許せないっ!



「人の下着、勝手に洗わないでっ! この変態っ!」


「ついでに洗ってやったんだぞ。感謝しろ」


「な…ついでに洗うことなんてないでしょうがっ!」


「だったら出しておくなよ。脱衣所に残ってたから洗ってやったまでだぜ?」


「残って…」


 
ああああ…私のバカ。

 
コイツがいることをすっかり忘れてたよ…

 
目に付くようなところに出しっぱなしにしていた私も…確かに不注意すぎるけど。



「でもっ。普通、女の子の下着なんていじったりしないでしょ!?」


「ま、サイズは確認させてもらったけど、別にじっくり隅々まで見てないから安心しろ」


「確認って…」


 
怒りで震える私を面白そうに眺める流川は、

 
脇に置いてあったブラジャーをつまみ上げ。



「ピンク色、好きなの?」


「ぎゃーーっ!!」


 
流川の手から、私はおもいっきりブラジャーを奪い取った。



「や、やめてよっ!」