女の人と向かい合って話していたのは、流川だった。

 
ポケットに手を突っ込んだ流川のTシャツの裾をつかんで、女の人はクネクネとカラダをよじる。



「約束よ」


 
そう言った女の人は、次の瞬間、流川の胸の中に身を寄せて。

 
戸惑う様子を見せつつも、ポケットから出された流川の腕は、そのカラダを包んだ。



「……」


 
私はなんだか、見ちゃいけないものを見てしまった気分になって、そっと窓を閉めた。

 
青いカーテンを引いて、ソファに座り込む。

 
 
お店…アタシの部屋…ナオちゃん…

 
麻紀の言うことは、ホントだった。

 
夜な夜な街に繰り出しているって噂も、この会話を聞く限り、絶対真実。


 
危険人物、と認識いたしました。

 
 
抱えていた洗濯物を持つ手がわなわなと震えてきて。

 
なんとも言えない不愉快さ。

 
 
まあ、流川には流川の生活があるのは当然で。

 
流川が誰と付き合おうと、どこで何をしようと、私には全然関係のないことだけれど。

 
 
でも!

 
 
一ヶ月とは言え、一緒に暮らすことになるかもしれないっていう状況で、あんなのを見せられたら、絶対無理。

 
 
下着まで勝手に洗われるし……

 
これ以上ヤツをここに置いておくわけには、いかない。

 
ああいう女ったらしは、一番、大嫌いだ!