「ダメだって言ったら、どうすんだよ」

「へ?」


 なんだその、予想外っていう顔つきは。


「ダメなの?」


 だから。

 泣きそうな顔、すんな。


「どうだかな」

「……」


 アホなのは俺か。

 どうしても突き放しちまう。


 でも、

 見上げるコイツの唇は、

 すっかりキレイになっていて。


「治してきたんだ?」


 唇に触れてやると、


「こ、これはっ、別に自然に治ったってだけで」

「今日に、合わせてきたんだろ?」

「ちちち、違うってば!」

「お前な、」


 真っ赤な顔を両手で包んで。


「こういうときは、そうだ、って言え」


 言い終わらないうちに動いちまった俺の顔は、

 目の前の唇を奪っちまった。


「ふふむむ…」


 暴れていたコイツも。

 そのうち大人しくなり。