「ぐ…ぐる…じぃ…」


 腕の中でもがくコイツに。


「お前は絶対俺に惚れるって言ったよな」


 何回言わせんだよ、こんなセリフ。


「次にキスするときには、唇の荒れ治して来いって言ったよな」


 まあ、今しちまえば、正確には3回目だが。


「ぶ…び…ぐ…」


 抵抗が弱まってきた。

 やべぇ。

 本気でつぶしそうだ。


 チカラを弱めると、


「ふぇぇ…」


 脱力したカラダが寄りかかり。


「だだだ、だって… まだわかんないんだもん」


 ゆっくり顔を上げるコイツ。


 涙目で。

 見るなよ。


「でも、」


 うつむいてから、


「たぶん、好きになる」


 小声でつぶやいて、


「そうなっても、」


 見上げてから、


「いい?」


 …聞くな、バカ。