お茶をすすりながら、まったり流れる時間。
傾いた夕日が部屋のなかに光を差し込んで、
テーブルの足元までオレンジ色が伸びている。
しばらく、ぼうっと二人でその夕日を眺めていたが、
「流川さ、」
ぽつんとコイツ。
「なんだ」
「ピアス、何でわかったの?」
「……」
もういいだろ、忘れろ。
「私が欲しかった店の、欲しかったピアスなんだよ?」
「ああ、そうなんだってな」
「なんでわかったの?」
「言ったろ、俺くらいになると何でもわかるんだって」
無理やりだよな、このセリフも。
「流川さ、」
「なんだよ」
だから… 何回聞くんだって。
「この石、知ってる?」
「は?」
「ピンクトルマリンっていうんだよ」
「ふ~ん」
興味ねーよ。
「ねね、知りたい?」
「なにを」
「ピアスの意味。この石の」
「意味?」
「うん」
急に顔を輝かせ始めたコイツは。
「知りたい? 知りたい知りたい?」
「…別に」
「ホントは知りたい?」
「別に」
「知りたいでしょ? ホントは」
「知り…」
…話したいのはお前だろ。
鼻の穴、ひくひくさせて。
「教えたいんだろ、お前」
「ち、違うっ。流川が知りたいんだったら教えてあげるっ」
「別にいいし」
「むぅぅ…」
膨れて。
アホか。
「聞いてやるよ。何だよ、意味って」
「え~、どうしよっかな~」
………。
「今度ね。今度教えてあげる」
「…なんだよそれ」
「もしも本当に、そうなったらね」
「ああ?」
わけわかんね。