「大丈夫か?」

「だ、だいじょ、ぶ…」


 ぜえぜえ言いながら、息を整えたコイツは、


「そういうことだからっ」


 なぜかムキになり。

 カエルに顔をうずめて、丸くなった。


 照れてんのか、お前。


 からかってやろうとは思ったが、ひとまずその様子を観察することにしたのだが。

 顔を上げる様子がない。

 こっちのほうが気まずくなる。


「よく考えたな、お前も」

「……」

「なかなかやるじゃん」

「……」

「運転は最悪だったけどな」

「…ふん」


 どうも俺は、

 素直に褒めるということができないらしい。


「せっかくだし、ゆっくりさせてもらうよ」

「…うん」

「とりあえずお茶」

「は?」

「お茶。もう一杯」


 湯飲みを差し出すと、いつものコイツの顔に戻った。


「もうっ! 自分でやれって!」

「今日は何でもしてくれんだろ?」

「なっ…違うって! 仕切るってだけ。意味、違ってる!」

「同じようなもんだろ」

「全然違うしっ」


 ブツブツ言いながらもお茶を淹れはじめるコイツは。

 なんていうか、

 本当に素直だ。