いつより飲みすぎた感は確かにあった。

 それでもベロベロに酔ってしまったわけではない。


 戻った部屋でコイツをからかって水を催促してみれば、予想外のひざ枕。

 俺も随分、幼稚な手を使ったもんだ。


 しかし、どんだけ単純なんだよ、お前は。

 言われたこと、素直に実行すんじゃねーよ。

 完全に騙されるタイプだろ、これ。

 俺じゃなかったら、本当にどうすんだ。

 あの彼氏と部屋チェンジでもしてたら、完璧に襲われてるぞ。



 夜は夜で。

 幽霊なんてくだらねぇもんにビビったあげく、風にまでおびえて。


 呼び寄せた布団のなか。

 本当に入ってきやがって。


 あの状態で、俺がどれだけ自分の感情をセーブしていたか。

 どうせお前にはわかんねーんだろ。


『何もしない』

『同意がなくちゃ、しない』


 自分で作っちまったオアズケ状態をやや呪いつつ、

 抱きしめる腕のなかでやっと寝付いたコイツの頭を撫でながら、

 苦笑いを浮かべるしかなかった。