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 窓の外。

 
 あれほど青く繁っていた木の葉の群れは、

 二ヶ月前のその時よりも、随分と色と密度を変えている。


 道に敷きつめられた赤や黄色の落ち葉の上。

 ゆっくりのぼる、旅館への道。



「………」



 いや、トロトロと言うべきか。



 道の向こう、川にかかる赤い橋と、

 その先に散らばる温泉宿の屋根がやっと見えてきた。

 
 …ここまでたどり着くのに、一体何時間かかっていることか。



 ガゴゴッ!!!!



 …またか。


 何回エンストこけば気が済むんだ。


 自然と漏れるため息とともに、運転席を見やる。



「くそ~~なんでなんで?!」



 笑っちまうほどの前傾姿勢で、ハンドルにしがみつくコイツ。



「なんで止まっちゃうんだろ? 流川」



 

 ……俺が聞きてーよ。