要くんとも。

 ちゃんともう一回、話さなきゃ。


 流川の言うとおり。

 自分のことだし。

 
 曖昧なまま、終わらせたり、

 漠然としたまま、スタートさせたり、

 そんなことばっかりしてちゃ、きっといい方向には進めない。


 ちゃんと考えて。

 ちゃんと答えを出して。


 誰かに支えてもらうだけじゃなくて。

 誰かに寄りかかるだけじゃなくて。


 自分で、ちゃんと、歩けるように。


 もしも一人になっても。

 しっかり立っていられるように。

 フラフラ、傾いたりしないように。




「手、もういいよ。流川」



 振り返った流川は。

 一瞬首をかしげたけれど。


「はぐれんなよ。トロイんだから」


 笑って。

 静かに手を離した。



 流川は前を行くだけなのに。

 暴言と、優しさと、混ぜこぜになって私に降りかかってくるのに。

 
 なんでこんなに、安心するんだろ。

 しっかりしなきゃ、とか思えるんだろ。


 
 いきなり現れて。

 私の夏休み、ほとんど取っちゃって。

 生活も、ココロも。

 半分以上、奪っちゃって。


 でも流川が現れなかったら、

 私はまだ、誰かに頼りっぱなしだった。たぶん。

 要くんのことを知ってからも、

 きっと立ち直れずにいたのかもしれない。

 一人じゃ、何にもできなかったのかもしれない。


 何かをしてくれたわけじゃないけど。

 むしろ予想外のことばっかりされたけど。

 流川の、俺様ぶり。

 真っ直ぐなところ。

 そんなところに、こうして救われたなんて。