「くぅぅぅ…」
なんでこうなるの?
勝ったと思ったのに。
また負けじゃん…
「はぁぁ…」
ため息をつくと。
「可愛いって」
振ってくる言葉。
「…へ?」
「なかなか」
「……」
「いや、かなり」
「……」
肩に置かれた手。
びくん、となると。
「いちいち反応がおもしれーんだよ、お前は」
また笑われて。
「いちいちって…」
顔を上げると。
「からかいがいがあるって、お前みたいなヤツのこと言うんだな」
いつもの口調で。
「ふ、ふんっ! どうせ…」
頬をふくらませると、
流川の両手ではさまれた。
「騒ぐなよ?」
「え?」
「俺が何かすると、お前すぐ騒ぐだろ」
「へ?」
意味がわからず。
きょとんとすると。
ふっ、と。
流川の目じりがさがって。
優しくなる。
「流川?」
顔を包まれたまま、首をかしげると。
―――ちゅ…
すばやく、
唇を奪われた。