――次の日の朝。


まだ昇りたての太陽が薄っすらと部屋を染めるまどろみのなか。


ベランダから聞こえてくるスズメの鳴き声。

 
ほんのりイイ、朝の気配。


 
なのに。


 
苦しい夢を見ている気分なのは、何ででしょう?



「う…う~ん…」


 
なんだこれ? 地震?

 
ひどくカラダが揺れていて。


 
ヤバイ。

 
結構、おっきい地震だ。

 
ぐわんぐわん揺れちゃってる。


は、早く避難しなきゃ!


 
でも、あれれれれ?

 
カラダが動きませんっ。

 
こんなに揺れてるのに、起き上がれないっ。

 
 
た、助けて! 誰か!

 
 
やや、動転気味で。

 
まだ重いまぶたを必死で持ち上げれば。



「おい、朝だぞ。起きろ」


「…………」


「起きろって」



……

 
………??

 
……………!!!



「だっ…、ぎゃ、ば…っ」


 
焦点の定まらない視界に、

 
昨日の夜の……アイツの顔がちらほら。


 
地震だと思っていた揺れは、そいつが私の肩をガッチリつかんで動かしていたせいで。



「早く起きろ。腹へった」


「腹? は? なに?」


 
私はまだ頭が回らない。

 
横目で壁掛けの時計を見ると、5時…半。



「5時半って…」


 
思いっきり早朝じゃん…

 
こんな早い時間を示す時計なんて、久しぶりに見た…

 
 
それより。

 
なんで私が、こんな朝早くにコイツに起こされなきゃならないんですかっ。

 
っていうか、やっぱりアンタ、戻ってきたの?!

 
要くんのちょっとしたイタズラだと思い込もうとしてたのにっ。