「反則だよ、それ」

「あ?」

「…なんでもない」


 寂しいに決まってんじゃん。

 いつもそばには要くんがいて。

 合宿に行っちゃったと思ったら、流川が来て。

 結構、楽しかったし。


 でもさ。


「流川は?」


 そうだよ、流川は?

 私にばっかりそんな質問、ズルイよ。


 今こんなふうに普通に話しちゃってるけどさ。

 あんなことがあって。


 流川はこの三日間、

 どんなこと思ってたの?


「流川は… 寂しくなかった?」

「別に」


 ………。

 
 …そうですか。


「手のかかるヤツと離れられたしな」

「……」

「まあ、カエルのあの顔が見れないのは少し寂しいかな」

「……」


 カエル…ね。

 あっそ。


「…そんなにカエルに会いたいんなら、私の部屋から持ってっていーよ」

「いや、いらん」

「いらん、って」

「あの顔見ると、お前のこと思い出すし」

「……え?」


 それはどういう…


「○ロ吐いたり、妙なこと口走ったり」

「……」

「泣いたり、わめいたり」

「……」


 あのね…

 そんなことですかっ。


「○ロ吐いたり、妙なこと口走ったりは…確かに私が悪いけどっ」

「ふ」

「ふ、じゃなくてっ。泣いたりわめいたりは… 流川のせいなんだからねっ」

「……」


 怒りながら。

 隣りの流川を見上げる。


 流川は私を見下ろして。


「……」

「……」


 ちょっと、

 なに黙ってんのよ。


「……」

「……」


 おいって。

 

 うう…

 にらめっこ、私苦手なんだって。


「…な、なにか言っ」

「悪かった」


 …え?


「悪かったよ、あの日」

「……」

「酔って、やることじゃねーよな」

「……」

「ごめん」


 流川は。

 目をそらさず、

 言った。