え~と…

 あ~と…


「ひ、久しぶり」

「ああ」



 …え~と

 …あ~と


「はや、早かったね」

「ああ」



 ………。

 
 なんだこの会話。

 つ、つながらん…



「あのっ!!!」

「なんだよ、急にデカイ声出すな」

「なんで?」

「あー?」

「あ、なんでっ、なんでこんなに早いの?」

「近くにいたからに決まってるだろ」


 近く…

 そっか。

 てっきりエスパー…


 ん?


「近くって? どこに?」

「オネエマンの店の近く」

「オネエマン?」

「ああ。近くの店でバイトしてるから。オネエマンの店はとっくに辞めてるからな。アイツらしょっちゅう厨房に顔出して仕事になんなかったから」

「そ、そうなんだ」


 どうりで早すぎると思った。


 んん?


「バイトって、夜でしょ?」

「そうだ」

「今、夜だよ?」

「そんなの分かってるよ」

「そうじゃなくて。バイト中だったんじゃないの?」

「そうだけど?」


 とういうことは…


「もしかして… わざわざ上がって来てくれた?」

「そうだ」

「わざわざ?」

「ああ」


 ありゃ…ありゃりゃりゃ。

 悪いことをしてしまった。。


「ごめん…」

「どうしてくれるんだ、バイト代」

「へ?」

「今日の分。パーだぞ」

「はあ…」

「責任とってくれんだろーな」

「え?」

「まったく」

「……」

「来てみれば意外にピンピンしてやがって。ま、顔は赤いけど」


 ずっと前を見たままだった流川が、首をかたむけて私を見た。


「元気だったか?」

「え?」


 突然。


「アパートに戻ったんだろ?」

「う、うん」


 話題変えるなって。

 しかも。


「寂しいだろ」

「え?」


 ちょっと優しい顔なんて…

 するなって。