「やっぱり…気持ち悪」
駅についた安心感からか、すっかり動かなくなってしまった足。
「げぷっ。うぇ」
このまま電車に乗ったら、かなりヤバそうで。
「と…とりあえず、どこか座るとこ…」
千鳥足で進む駅構内。
休憩用スペースの長椅子を発見した私は、とりあえずそこに腰をおろした。
カラダの動きを止めると。
なおさら回る視界。
目の前を行き過ぎる人たちが私をちらりと見て。
たぶん、うつろな目をしてるんだろうな。。
ヤバそうな人間に見えるんだろうな。。。
こんな時間に、童顔女がひとり、ぽつんとこんなところに座ってるなんて。
気になって辺りをきょろきょろうかがうと。
…あ、ひとりじゃないや。
背中合わせになっている長椅子の、真後ろの席。
「ぐぅぅ…ぐっ、ごごっ…ぐぅ…」
「……」
仰向けに眠り込むサラリーマン。
あちゃ~… 酔ってるよ。
眠っちゃってるよ。
しかしこの辺、酔っ払ったサラリーマンが眠り込む率高いなぁ。
おじさん、最終電車行っちゃうよ?
奥さんに怒られるよ?
あ、単身赴任か?
って!
私がサラリーマンを心配してる場合じゃないって。
最終電車が行っちゃって、困るのは私もだって!
「よし。ここは気合いで…」
ふうっと息を吐いて。
立ち上がって踏ん張る足。
「あわ、わわわ…」
…ダメだ。
カラダが言うこときかない。
「ひえぇ… どうしよう」
再び椅子に腰をおろした私は。
怪訝そうに顔をしかめて通り過ぎていく人たちを眺めるしかできなくて。
もう少し冷ましてから立ち上がろうと、しばし大人しくしておくことにした。