「何でナオちゃんがこんな娘と一緒に住むことになったのかと思ったら、そんな訳があったのね」


 グラスを口に運んで、ぼそりとつぶやいたらぶりー留美。


「だ、ダメですか? 流川の連絡先…」


 つられて私もグラスを持ち上げて。

 ゴクリ。


「んごぉっほ」


 ま、またやっちゃった…

 このお酒、超マズイよ。

 でも一気に話をした咽は渇いていて。

 鼻をつまみながらもう一度口をつける。


「そうねぇ。どうしようかしら」


 らぶりー留美は。


「ナオちゃん泣かせたら承知しないって私言ったわよね?」


 言って。


 あのぉ…泣かしてませんけど。

 むしろ泣かされたのは私ですけど。

 たぶん、二回ほど。


「あんた、男経験少ないでしょ」

「へ?」

「まったく。鈍いって言うかなんていうか」

「へ?」

「さぞかし辛かったでしょうね、ナオちゃん。可哀想だわ。アタシがこれから行ってやりたいくらいよ」

「……」


 辛いのは私なんですけど…?


「泣かせたバツよ。アンタこれから少しアタシたちに付き合いなさい」

「え? バツ? っていうか流川のことなんて一度も泣かせてませんけど…」

「泣かせたも同然よ。グラスで殴られたのだってアンタのせいじゃないの。あんなキレイな顔に傷でも残ったらどうすんのよ。それこそアンタのこと一生呪ってやるわ」

「…は、話が…」


 いろいろ混ぜこぜになってます、らぶりー留美さん…


「バツっていうか、壮行会みたいなもんね」

「え?」

「飲みなさい。これからの女は飲めなきゃやっていけないわよ」


 は? 意味がわかんないんですけど…


「今日はお客が少なくて暇だったのよ。アンタこの前お店に来たとき、アタシたちのダンスに相当興味を持ってたでしょ。すごく喜んで拍手してたわよね」


 それは…興味とはまた違うんですけど。

 喜んでたわけでもなくて…

 コントみたいでウケたっていう…


「今、新作練ってるのよ。踊ってあげるから見ていきなさい。改善点があったら言うのよ」

「はぃぃ?」