っていうか、私、あなたにとってはちんちくりん以外の何者でもないんですね…

 あなたがデカ過ぎるだけだと思うんですけど…


「アンタ一人? ナオちゃんは?」


 つまらなそうに唇を尖らせたそのオネエマンは。


「ちんちくりんが一人では気合が入んないわ」

「………」

「なに? 遊びに来たわけ?」


 女と分かった途端、そして私がこの前の客だと分かった途端。

 スーッと去っていってしまった他のオネエマンたち。


 入口付近、残された私とでっかいオネエマン。


「ま、とりあえず中に来なさいよ」

「あ、あの… 遊びにきたんじゃないんです」

「そんなの分かるわよ」

「え?」

「アンタみたいな娘が一人で遊びに来るようなところじゃないわ。用事があるんでしょ?」


 う、鋭い。

 デキる、このオネエマン。

 女の勘ってヤツ?

 …女…ということにしておいて。


「そそ、そうなんですっ!」

「ちょっと。声がデカいわよアンタ。何ひとりで気合入ってんのよ」

「…気合を入れないと、来れなかったんでしっ!」

「でし、って。し、って。変な娘ね。とりあえず奥にいらっしゃい。ここじゃ邪魔よ」

「あ、はい」


 やや緊張しながら、オネエマンのあとに続く。

 それにしても…デカいなぁ。

 歩く岩だなぁ。


「ここに座んなさい」


 案内されたテーブルで。

 私はうなずいて、おとなしく座った。


 オネエマンは、少し離れたところに座って。

 足を組んで、タバコに火をつけた。


 しぐさはとても女らしいんですが…

 組んだ足の筋肉のスゴイことったら。

 ししゃもみたいな足を眺めていると。


「ナオちゃんとケンカでもしたんでしょ」


 ふーーっと煙を吐き出したオネエマン。

 おおお…

 本気で鋭い。