「う…」


 ギラギラネオン看板の前。

 思いきって来たのはいいけれど。


「は、入りにくい…」


 前は流川と一緒だったからまだ良かったけど。

 一人となると…さすがに勇気がいるぞ?


 看板の前で行ったり来たりして、やっぱり戻ろう、なんてことまで思ってしまったけれど。


「うううぇぇいっっ!」


 ここまで来たら勢いでしょ?

 そうでしょ?

 そうするしかないんだ、私!

 気合だ、私!


 ビルに入って、エレベーターへ。

 4階ボタンを…押してしまった。


「いいいぃやっ、やっぱり降りる! 降ろしてくださいっ!」


 叫んでみても。

 私しか乗ってないエレベーターは、普通に4階に到着。


 ――ガゴン。


 扉が開けば。



『ようこそ!! オネエマンパラダイスへ!!』



 キターーーー…コレ……


 待ち構えるようにして立っていたドアマン代わりのオネエマン。


 さらに。

 ぞくぞくと集まってくる他のオネエマンがた。


「いらっしゃ… あれ? 女?」

「女よ、女。しかも一人」

「へえ、変わった趣味の若い娘もいるもんね」

「っていうか、男連れて来なさいよ。つまんないわね」

「あら? この娘どっかで見たことない?」

「そうね、見たことある気がするわ」

「それよりアンタ、高校生じゃないわよね? 随分幼く見えるけど」


 ハハハ…

 相変わらずスゴイよ。

 怖いよ。


 ひと言めを探しながら、もじもじとオネエマンたちを見上げていると。


「あら、アンタ。ナオちゃんのちんちくりんじゃない」

「あ…」


 奥からひょいと。

 あの日、トイレで話をしたオネエマンが現れた。