カエルの頭に頬を押し付けてグリグリして。
そうしていると、やんわりした感触に安心感を覚える。
「カエル」
呼んだって、もちろん返事なんてないんだけど。
二カッと笑うその顔にも癒されて。
思えばこのカエル…
私にもらわれなければ、どこかのリサイクルショップ行きになってかもしれないんだよな。
まあ、そうならなかったにしても、
麻紀と祐二くんのケンカ道具に使われてたかもしれないし。
でっかいから、振り回せばかなりの凶器になりそうだもんなぁ。
「よかったねぇ、カエル。私のところに来れて」
私だって最初は、あまりのデカさに戸惑ったけど。
はっきり言って、迷惑だとか思ったけど。
それでも愛嬌のあるこのカエルに…次第に愛着が沸いてしまって。
私と流川のところに来てから、
なかなかイイ仕事もしてくれてるし。
それもまあ、偶然っていえば偶然なんだろうけど。
小さな奇跡を運んできてくれたのは確かで。
最近は何にもないけど…
私と流川が揃ったところでないと、カエルのチカラも発揮できないのかな。
なんて思いながら、カエルの頭を撫でていたとき。
「あ、やばっ」
要くんにもらったネックレスが、カエルの首元に引っかかってしまった。
「あややや、鎖切れちゃう」
カエルの首元には、チャックがついていて。
つまみの部分に絡まってしまったネックレスは、なかなか外れない。
「く…くそ。グリグリやりすぎた」
カエルと顔を突き合わせながら、鎖と格闘すること、およそ5分。
「く~~カエルめ~」
イイ事どころか、これじゃ拷問じゃん。
横目にしてるまぶたがピクピク痙攣してきて。
カエルとネックレスを支えている腕に、変なチカラが入って痛い。
「こ…このこのこのっ」
それからさらに5分後。
10分かかって、やっと鎖を外すことができた。